お台場の日本科学未来館で可愛く動くホコリを展示!?―Art Hack Day 2018 参加レポート

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    アートと科学が出会う

     

    こんにちは。ハチノコラボの三宅です。この動画を見て「いつものモノクロ点描画と作風が違う!?」と思って頂ければ、この時点での掴みは大体OKです!笑

    さて、もこもこ動く灰色の物体はというと・・・

    なんと、あの「ホコリ」なんです!

     

     

    クリーニング屋さんの協力で集まった大量の洗濯ボコリ

     

     

     

    「え〜?ホコリのどこが科学なの!?」

     

    そりゃ、そうなりますよね(笑)種明かしすると、ホコリをそのまま展示したのではなく「静電気」を使って動かしていたのです。今回の制作は、点描というアナログ技法の私にとってはまさに心機一転で、これまで馴染みのあった絵画・造形・工芸の世界から一旦離れ、エンジニアや研究者、メディアアーティストといった異分野の仲間と一緒に、ちょっぴり科学のエッセンスを盛り込んだものとなりました。

     

    本記事では、3月16日〜18日の3日間にかけ、お台場の日本科学未来館で開催された展覧会「Being There ― 現れる存在」展と、それに伴う作品制作イベントとして2月3日からスタートした「Art Hack Day 2018」を含む約1ヶ月半についてをレポートします。

     

     

    日本科学未来館のシンボルとなっている巨大地球ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」

     

     

     

     

    Art Hack Day 2018

    「Being There ― 現れる存在」展とは

     

    この展覧会は、「人工生命(ALIFE)」がテーマのハッカソン「Art Hack Day 2018」で制作された12点の作品を鑑賞するものです。「ハッカソン」と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、ハックションとか八海山とかの仲間ではありません。IT用語の「ハック」と「マラソン」が合わさった造語だという事を、私も生まれて初めて知りました。(知らないのに参加すんなよと・・・)

     

    グーグル先生によれば、ハッカソンとは数のアーティストやエンジニアそして研究者などがその場でチームを作り、与えられたテーマに対し、それぞれのアイデアとスキルを使って短期間で集中して開発(プロトタイプ)の成果を競うイベントなのだそうです。Art Hack Dayは「アート」という名がつく通り、アートの要素が他のハッカソンより多いのが特徴です。

     

    ●テーマとなった「人工生命」については、公式サイトを参照してください。

     

     

    Art Hack Dayのロゴ

     

     

     

    チーム決めとアイデア出し

     

    66名の参加者はイベントの初日に「人工生命」に関するレクチャーを受け、2日目にそれぞれが考えた作品のアイデアをプレゼンし、支持を得たアイデアに基づいて5人程度のチームに分かれました。私はそこで「ホコリ」をテーマにしていた方のチームに参加する事になったのでした。

     

     

    Art Hack Day初日の2月3日は節分の日で参加者には恵方巻が振る舞われた。

     

     

     

    制作について

     

    私自身もそうなんですが、ユニットを組まない個人制作型のアーティストの多くは、基本的にアイデア出しから制作〜展示までを一人でやるため、チームを組んでの制作はとても学びが多くて刺激的でした。

     

    しかしながら、他のメンバーはメディアアーティストやエンジニアといった今まで出会った事のない様な分野の人たちばかり・・・脳の構造が違いそうな人たちに囲まれて、果たして何の役に立てるのかと最初は不安でいっぱい・・・

     

    そして、あれやこれやあって・・・めちゃくちゃ仲良くなりました(笑)

     

    いや、その「あれやこれや」を書けよという話ですが、要は本気でものを作りたいと思っている人同士が集まれば、共通のゴールを目指して結束力は必ず強まるということです。

     

     

    毛玉取り機を使ってホコリをフワフワな状態にする作業。

    メンバーの一人が古いホコリの上に新しいホコリを乗せた事で一触即発の状態に・・・

     

     

    メンバー力作の改造ルンバ。1台は回転の摩擦でマイナスに帯電、もう1台はプラスで除電させるつもりだったが実装が間に合わず展示では一瞬しかお披露目できなかった!

     

     

     

    連日の未来館での作業は閉館後のため館内は暗い。

     

     

    作業後は終電まで飲む。

     

     

     

    学習したこと「静電気はそんなに甘くはなかった」

     

    私たちは「ホコリコンピューティング」というチーム名で、その名の通り「ホコリをコンピューティングしよう」という目的で、静電気を使ってホコリに面白い動きをさせようと考えました。しかし、制作を進めると静電気の性質が全く単純なものではなく、実はとても難しい分野に足を踏み入れてしまったことに気づいてしまいました。

    静電気には電池の様にプラスとマイナスがあって、吸い付くホコリも帯電してプラスになるので、その極性の違いと特徴を一から学習する必要があったのです。

     

    そこで、静電気発生装置を作っている企業と静電気除去装置を作っている企業それぞれ2社へ訪問し、静電気についてのレクチャーを受けました。しかも、この2社は作品の協賛企業となり機器まで貸してくださいました。

    株式会社グリーンテクノ様SMC株式会社様には、この場をもちまして厚くお礼申し上げます。

     

    こうして私たちはこの短期間で実験と失敗を繰り返し、試作途中ではあったけど何とか展示に間に合うことができました。今後はこれをブラッシュアップしたものを別の場所で展示できればと考えています。

     

     

     

    《作品コンセプト》

     

    作品タイトル『たち灰こる/Tachihokoru』

     

    【コンセプト】

    ホコリとは、繊維,ふけ,あか,花粉,土,菌といった人工物と自然物のありとあらゆる物質が盛り合わさった構成要素のわからない灰色の塊である。いつの間にか人のいない場所に集まり溜まってゆくという、その形成過程における人の生活環境との表裏一体性と時間性に注目し、私たちの日常の裏で共生しつつ特定の環境下でしか発生し得ない唯一無二の生命体と考えた。このホコリの自発性は、その語源である「立ち放こる」にも現れている。作品タイトルは、灰の様な仄かさを強調するため「放こる」ではなく「灰こる」という字を当てている。

     

     

     

     

    W40×D40×H18cmの透明のアクリルボックスにホコリを閉じ込め、静電気発生装置により上下面にそれぞれプラスとマイナスの帯電層を作っている。不安定な電極の間にいるホコリは自発的な動きを見せる。

     

     

    アクリルボックスを側面から覗くと、そこはまるで小宇宙。

     

     

    ボックスの上に設置した静電気除去装置の発するパルスにより、さらに動きが変化するホコリ。

     

     

     

    作品の全景。カーブを描く壁面にリアルタイムのホコリの動きを投影。小さな立体と大きな平面との差で作品の印象に変化を見せる。

     

     

    チーム「ホコリコンピューティング」のメンバー5名。

     

     

     

    ◆最後に

     

    展示へいらっしゃいました来場者の皆様はもちろんですが、この大人数の参加者を一人でさばいていた主催者の青木氏(一体いつ睡眠を取っていたのか不明)とそのスタッフさんたち、色々アドバイスをしてくれた日本科学未来館の担当者の皆様、協賛企業様、ホコリをくれたクリーニング屋様、そしてホコリコンピューティングの仲間たちに多大なる感謝を伝えたいと思います。

     

     

     


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